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2015年10月16日(金)

「琳派がどうの展」






みなさんこんにちわーむ。

幼少時から星空を眺めるのが好きで、双眼鏡で満月を観察してばかりいたせいで
極度の近視、イラストレーターのしばざきとしえっス。

なんか満月って、裸眼で見ちゃいけないんだってね。

考えてみればアヤツが光っておるのは太陽光のせいなのでありまして、同じ事情
で、日食メガネみたいなヤツかフィルターかなんか知らんけども、 なんらかの
措置が必要なんだってね。

知らんかったよ。思いっくそ満月をガン見してたよ。

そういうこと、多いですよね。

子どもの頃はツユほども疑わなかったことが、物事の究明と細分化によって「ド
NG」になってた!いつからだよ!早く言ってくりゃれよ!ナロー! という、、。

何かをすっかり頭ッから信じたり、なんも考えずに安心しきって涎垂らしてだら
だらしてたり、してる場合じゃないということなんでございまするよなあ。

げにこの世は常ならむ。



琳派がどうしたとかこうしたとかいう展覧会に、ふっと行ってしまいました。

行く予定じゃなかったのですが、連れが京博の庭に入ったことがないので入りた
いと強弁し、無銭で庭に闖入する方法がなかったために、なんかしょうがなく
入っちゃった。

¥1500も払っちゃった。

あー

つまんねえ。

京都に住むと寺だの神社だの、あり過ぎで本当に何も思わなくなります。いわゆ
るところの「麻痺」。

重文程度では「ふん」とか鼻鳴らすようになり、国宝も石投げリャ当たるような
頻度で出くわすのですが、国宝という説明を見てようやく、やおら「ほほぉ」
とか言ってみたり。

というか、私はあんまり日本の美術が好きじゃないのです。

尾形こーりんとか俵屋そーたつ見ても、最近は「なんか絵、下手じゃね?」とか
思うようになってきました。

なんつーのか、どストレートの「絵画」というよりは「工芸」なんだよ
なーぁ。あ~。

工芸品ってぜんぜん好きじゃありません。
自分が生まれついての超弩級糞陰気人間なので、陰気くさいもの、わざわざ見た
くねえんですよ。ええ。

第一、あの、生まれつき脳と眼に欠陥でもあるのかと疑うほどの


「遠近感のなさ」


はなんなのだろう。

なぜこれほどそう思うのかというと、自分もまた「生まれつき脳と眼に欠陥があ
る」レベルの、遠近感の表現の欠落人間だから。なのに他なりません。人ごと
じゃないんだよイヤほんと。

学生時代に石膏デッサンとかやってた頃は、われながら驚くような「ぺらっぺら
の薄っぺらブルータス」とか「 紙でできてんのかよこのヘルメス」みたいな絵
ばかり描いておったのだよ、わはは。

指導者から「なんでこの肩、こんなして前に出てんの?」とか、めっさ不審がら
れたものでした。。
指摘されても、基本「脳と眼が腐ってる」わけですから、何がどう間違っている
のだか皆目わかりません。
せいぜい「はあ」とか答えて終わりです、、。

スーパーフラットというよりは


「意図しないキュビズム」


つまり「見えてるものがどれもこれもどんどこ前に出てきちゃったよわーい」と
いうような石膏デッサンです。
すると指導者はアレをやります。

アレです。

木炭デッサン勉強した人なら誰でも思い当たるであろう、アレ。

「指導者、木炭紙を思いっくそ人差し指でパーンと弾く!」

というアレ。

木炭は描いただけでは紙に定着せず、ただ「乗ってる」だけなんで、ものの見事
に「絵が消える」のです。

このように、描いても描いても否定されまくった石膏デッサンの苦い記憶ととも
に、今の私があるわけです。やれやれ。芸大なんか受かるわけないよな。


だども尾形こーりんとか俵屋そーたつレベルでもです、よーするに絵を描いても、

・立派だと「工芸」
・気軽だと「いたずら描き」(手遊び?)

っていう雰囲気が、嫌が応もなく立ち昇るんでございますよ。こりゃもう「民族
性」としか言いようがないんでございますよ。
私のデッサンがシッチャカメッチャカだったのも、古来からめんめん引き継いだ
「民族性」なのですよ。(本当か)

あーそれで、もっと言えばそれって「思想性の欠如」。
(私自身もまた、著しく「思想性が欠落している」とも、思われます)

おそらく、日本に住む人々というのはこの「極度の遠近感のなさ」のために、1
枚の絵でなんかを表現するということがもう、ハナッから「不可能」なんであ
りましょうやなーーーぁ。

この国の人が最も得意とする「表現方法」は「漫画」なのだ、と本当に強く思い
ます。

古代なら「絵巻」ですね。

絵巻は良いよ!

丸まってるのをスルスル引き出すと、物語になってて、ちまちました人間だの動
物だのが、なんかいろんなこと、あんなことやこんなこと、やってやがるんだよ!

あー、かわいい。

昨年同じ京博で開催されていた「鳥獣戯画」展をこそ見るべきだったのですが、
あの時は「待ち時間4時間」とかごくフツーだったので、現地まで赴いたとい
うのに、ちっとも入れませんでした。

あ、そういえば、平成知新館の中の「レファレンスコーナー」にはタッチパネル
式の画面があり、鳥獣戯画をデジタルデータで全巻、見ることができますです
よ。見てきたけど。
拡大とかできるし、いいよあれ。

尻尾に火ぃつけてマト照らしてる狐とか、レアキャラの猫に怯えてる鼠とか、な
んか隅々がかわえぇええぇえぇぇ。


というわけで唯一、絵巻は面白いじゃないかジャマイカっと、素直にアイムソー
リー。



それでは、また。




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しばざきとしえ

イラストレーター兼
コミックエッセイスト。
セツモードセミナー卒。
女性誌に実際の取材によるイラストルポを描いたり、自身の体験をもとに
エッセイマンガを書籍化するなど幅広く活動中。
キャラクター作家の顔も持ち、脱力系キャラ「ウサワカメ」の商品化も多数。

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