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2015年10月19日(月)

「将軍の人形を埋めたとこ」





こんばんみー。
近所の「コーナン」が面白くてしょうがないです。

都内に住んでいる時は、東急ハンズにばかり行っていました。

木材とか、スタイロホームとか、石粉粘土とか、蛇口とか、エアーキャップとか、いろんな番数のワイヤーとか、ドアノブとか、プラ板、スチロールボード、プラカラー、接着剤、クリスタルパック、そのほかあれこれあれこれが

「ここまで種類、揃えるんかーーーーーーーーい」

とお口あんぐり、「これでもか」とずらり、ぎゅうぎゅうの密度で陳列されていると、なぜだか無性に嬉しくなる。
これから作ろうとするものに対し、どれとどれをチョイスすれば何がどーなるのかと、売り場であれこれ考えるのが楽しい。

あらかじめメモった寸法のメモ見ながら、切断すればジャストサイズになるんだか、はたまたぴったりのものがあるんかと、彷徨えるDIY難民となって、屹立する棚の間をうろつくのが楽しい。

それなのに京都・四条烏丸の「東急ハンズ」は。一体なんど。

何か勘違いしている。

あの圧倒的な「密度」が明らかに欠落し、ゆったり空間づくりで落ち着いたムードを醸し出す、ただのおしゃれっぽいセレクトショップみたいになっちゃってる。

照明もです。

ハンズこそが、目にキンキンくるような1ミリの色気もない真っ白い蛍光灯で、隅々までをどフラットに「見ろほら、見ろ、見ろ、見ろ、目ん玉かっ開いて見ろーーーー」と満遍なく、手術室のように、バカみたいに照らされていなければ「いけない」のです。

京都に来て驚いたのは、住宅地のはずれにひっそりある個人経営のブティックとか、ラーメン店の隣についでのように並んでいる八百屋とか、大小関わらずどんなお店の陳列も

「奇妙なまでに見目麗しく、すっきり整っている」

ことと、

「照明が暖色・位置は低め」

ということです。これは他の街のどこでもあまり見たことのない「市井レベルで空間認識・美意識が高い!」、、、、とか、関東のへげたれである自分のような者に言われても「けっ」ってかんじでしょうがまあ、そうなんだからしょーがないじゃん。そーなんよ。こーなん。

そのような美意識が、東急ハンズにおいては甚だしく間違って働いたという例なんでありましょうや。
一言で言えば。

でもこれ、私だけが思ってんのかと肩身狭かったのですが、四条通りを歩いていたら後ろのうら若き女性が

「ここの東急ハンズって、ちょっとイマイチやんな。東京のと違う」

と言っていたので

「そーーーなんよそーーーなんよ、そーなんよ、こーなん」

と思わず声をかけそうになりました。

その点、こちらに来てから「素材的なものをこれでもかと色気なく陳列している」場にがるると飢えていたところ、コーナンというものがありましたがな。しかも東急ハンズに比べて、桁ひとつ間違えてるのかと思うくらいなんでもかんでもリーズナブルですがな。ハンズは高かったもんなー。

ちなみに今、買おうかどうしようか迷っているのは「電気ドリル」っす。




昨年オープンしたばかりの東山・将軍塚青龍殿の大舞台に、「ガラスの茶室」が出現していました。

以前訪れた時にはなにもなかったのに!と思ったら、吉岡徳仁氏による「期間限定」のアート作品なのですね。
(撤去は来年で、いつになるか未定とのこと)

http://www.tokujin.com/

ここの大舞台の見晴らしは本当に素晴らしく、清水寺などで人ごみにもみくちゃにされるよりも、せいせいしてえーんではないか、と関東のへげたれの私などは思いますです。
和気清麻呂なるお方が、なんせ長岡ではヤなことばっかだったために、やおら山上まで連れ立ってやってきまして「こっちのがいいですよ、ほらっ」と桓武天皇に進言したという、まさにその「展望スポット」なわけですから、えらいことです。平安京のはじまり。
「将軍塚」も面白。将軍の人形埋まってるとか、面白。

家にある、数年放ってあった絵巻の図録(都内ではそういうものをゆっくり眺める気持ちが少しもなかった)をつらつら眺めておりましたところ、

「将軍塚絵巻」

なるものに出くわしまして、なんか、土人形に甲冑着せて弓と刀持たせて、穴掘って、さて埋めよーかいみたいな絵がちゃっかり載っていまして、え? これ描かれたの鎌倉時代!? とか、またもや関東のへげたれである自分などは布団敷いて氷枕して朝まで寝込まなければならぬほど、時間感覚にめまいを覚えるわけでありますよ。そーなんよ、そーなん。こーなん。

なにしろ平安遷都の際に、都の鎮護のために、そのよーな土人形を埋めたてーんですから

平安遷都ねえ。。。。。。

いつだよ!? もー!

こうして歴史をひもとき、ひもといたと思ったら「それ、ここにあっから」みたいな現場を見聞きするたび、


「もう死んでもいいのではないか」


「死に場所、見つけました、私」


みたいな気分にうっすらなるんですが、どーしたらええのでしょうかね。暗い気持ちというよりは、


「これ以上ジタバタせんでもいいのね、これで。。もう許されたんすね、きっと。。。」


みたいな、一抹の安堵感とでも申しましょうか。
あーいかんいかん。

まだ生きるので、仕事どしどしください。


それでは、また。




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しばざきとしえ

イラストレーター兼
コミックエッセイスト。
セツモードセミナー卒。
女性誌に実際の取材によるイラストルポを描いたり、自身の体験をもとに
エッセイマンガを書籍化するなど幅広く活動中。
キャラクター作家の顔も持ち、脱力系キャラ「ウサワカメ」の商品化も多数。

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